「また、いつもの人に頼んでしまう」だから、課長の仕事は減らない

「また、いつもの人に頼んでしまう」だから、課長の仕事は減らない

重要な仕事が入ると、課長の頭には、いつもの部下の顔が浮かびます。

「今回も、Aさんに頼もう」

Aさんなら、仕事の背景を理解している。
細かく説明しなくても動ける。
途中で問題が起きても、自分で考え、必要なときには相談に来る。

納期や品質に責任を持つ課長が、実績のあるAさんを選ぶのは自然なことです。

ほかの人にも任せる必要がある。
それは分かっている。

それでも、失敗できない仕事ほど、いつもの人に頼みたくなります。

失敗を避けるほど、実績は同じ人に集まる

Aさんは、重要な仕事を任されるたびに、さらに実績を積んでいきます。

難しい判断をする。
他部門と調整する。
問題が起きた仕事を立て直す。
最後までやり切る。

その積み重ねがあるから、次の仕事でもAさんは安心して任せられる人に見えます。

一方、ほかの人には、重要な仕事をやり切った実績が増えません。

次の仕事が来たとき、課長はまた考えます。

Aさんなら任せられる。
ほかの人に任せるのは、まだ不安だ。

失敗を避けるために、実績のある人を選ぶ。
しかし、その人を選び続けるから、ほかの人に実績がつかない。

そして、またAさんに頼みます。

任せているのに、任せ先が増えていない

Aさんに仕事を任せれば、その仕事は課長の手を離れます。

けれど、Aさんにも限界があります。

Aさんが手いっぱいになったとき、ほかに任せられる人がいなければ、残った仕事は課長が抱えることになります。

課長は、仕事を任せていないわけではありません。

任せる相手が、いつもの人から増えていないのです。

前回の記事では、上司の意図を早く理解できる人ほど、「頼れる人」に見えやすくなることを書きました。

その人に重要な仕事が集まれば、さらに実績が増え、ますます頼れる人になります。

その一方で、ほかの人との差は広がっていきます。

今日の失敗を避ける選択が、明日の選択肢を増やさない

「また、いつもの人に頼んでしまう」

その選択は、今日の仕事を確実に進めるためには合理的です。

しかし、その選択を繰り返す限り、次に任せられる人は増えません。

いつもの人が抱えきれなくなった仕事は、また課長へ戻ってきます。

だから、課長の仕事は減らないのです。

そして、任せる人が固定されることで失われるものは、課長の時間だけではありません。

重要な仕事に関わる人がいつも同じなら、職場に入ってくる考え方や視点も、少しずつ固定されていきます。

あなたの職場では、任せる相手がいつも同じ人になっていないでしょうか。

実際の現場で感じていることがあれば、ぜひコメントで聞かせてください。

海野 幸浩

海野 幸浩

ThinkDoor代表。
電子デバイス設計者として世界シェアNo.1製品の設計に携わり、その後、管理職を経て、ロボット設計部長として100人規模の組織を統括。
自分が先に答えを出すマネジメントから、部下の考えを引き出し、一緒に考えるマネジメントへ転換した経験をもとに、現在は技術系組織の管理職育成を支援しています。

技術系管理職・リーダー向けの個別相談も受け付けています。
部下への任せ方、1on1、上司との関係、仕事の抱え込みなど、会社では話しにくい悩みを個別に整理します。
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